Greeting

主宰挨拶

当講座の主宰がご挨拶いたします。

福岡臨床補綴・咬合コース 主宰 /
米国歯科補綴学修士 / 歯学博士

岡村 光信

おかむら みつのぶ

理論と実践の一致――それが、私の臨床を変えました。

私が歯科医院を開業して8年が経った頃、恩師藤本順平先生の研修会を受講しました。
それまでの私は、日々の診療をこなしながらも、どこか確信を持ちきれないまま臨床に向き合っていました。
患者さんの状態は理解できる。しかし、崩壊した咬合をどのように再構築するのか、どこから手をつけるべきか、それを実践したものを見せてくれる方が周囲にいませんでした。
そんな中で出会ったのが、藤本先生の補綴に対する考え方でした。
その本質は、「理論と実践の一致」にあります。
先人たちが積み上げてきた理論的な根拠に基づき、それを臨床の現場で再現性をもって具現化する。
見た目の結果だけではなく、なぜその治療を行うのか、その根拠まで含めて一貫している。
その姿に触れたとき、私は強い衝撃を受けました。
そしてもう一度、補綴を基礎から学び、歯科医師としてプロといわれる仕事をしたい、そう思い、歯科医師として出直そうと決意しました。
藤本先生に推薦状を書いていただき、インディアナ大学へ留学し、補綴について体系的に学び直しました。
日本ではなかなか学ぶことのできない補綴学の基本的な考え方と臨床の実践を、そこで身につけることができました。主任教授(チェアーマン)からいつも言われたことは、私は研究者ではなく、補綴専門医を育てている、というお言葉でした。
帰国後の1991年から、九州の先生方にその考え方を伝えたいという思いで、この研修会を始めました。
近年では藤本研修会補綴咬合コースの最後の2期(第44、45期)の講師を担当する機会をいただき、その考え方知識をさらに深く学び直す中で、九州で故藤本先生の教えの伝道者としてより多くの先生に届けたい、という思いを強くしています。

臨床を続けていると、必ず「壁」にぶつかる時期があります。

大学を卒業し、研修医を経て、ひと通りの診療ができるようになる。う蝕歯の治療も、1本のクラウンも、こなせるようになる。ところが、ある日、咬合が大きく崩壊した患者さんが来られた時、手が止まってしまう。
どこから始めればいいのか。どういう材料を選ぶべきか。咬合をどう再構築するのか。1本の治療ではなく、口全体を診なければならない時、多くの先生が「この症例をどう考えればいいのか分からない」という壁にぶちあたります。
この壁は、大体、卒後4〜5年目に訪れます。あるいは、開業して落ち着いた7〜8年が経った頃に、改めて感じる先生もいます。
歯周病、う蝕歯、外科処置――すべての治療は、最終的に補綴へとつながります。
補綴とは、失われた咬合を再構築する、歯科医療の集大成ともいえる分野です。
だからこそ、正しい考え方が求められます。
この研修は、その壁を乗り越えるための場所として作りました。

理論と実習が、半々で進みます。

この研修でお伝えするのは、私が故藤本先生から、そしてインディアナ大学補綴科大学院で学んだ「理論的な根拠に基づく補綴」です。
咬合学の基礎、支台歯形成の科学的根拠のある理論と技術、補綴材料の特性と選択の根拠、部分床義歯の設計――これらを、ただ講義として聞くだけでなく、実習を通じて自分の手で体験します。
講義と実習の割合はほぼ半々。学んだことをその場で実践することで、知識は初めて「自分のもの」になります。
特に補綴材料については、私自身が長年にわたって材料学(特にオールセラミックス)の研究を続けてきた立場から、理工学的な根拠をお伝えします。
「なぜこの材料を選ぶのか」「なぜこの支台歯形成が必要なのか」――その理由が分かることで、患者さんへの説明が変わります。
「高い材料だから」ではなく、「この材料にはこういう特性がある」「新しい材料が万能というわけでもなく、限界もある」。そのような根拠を持って伝えられるようになります。
コースはパート1からパート4に分かれており、全て受講すると約10ヶ月のカリキュラムになりますが、各パートから受講することも可能です。

自信が生まれると、診療が変わります。

この研修を受講することで、先生方に大きな変化が生まれます。
それは、「自信をもって患者さんに向き合えるようになること」です。
自費診療においても、単に材料の違いを説明するのではなく、
「なぜこの治療が必要なのか」「なぜこの選択なのか」を、根拠をもって説明できるようになります。
歯科医師も人間ですから、不安がゼロになることはありません。
しかし、理論に基づいた判断ができることで、その不安は大きく変わります。
患者さんは、技術だけでなく、歯科医師の姿勢や情熱を見ています。
自信をもって誠実に向き合えるかどうか――それが信頼につながります。
そして結果として、より良い治療が提供できるようになり、自費診療の比率も自然と高まっていきます。

最後に、私が最もお伝えしたいこと

補綴の最終的なゴールは、患者さんを幸せにすることです。
治療を通じて、患者さんと一緒に喜びを感じること。それが、私がこの仕事を続けてこられた理由です。
そして、補綴は楽しい。自分が描いたイメージを具現化できるかどうか?できた時は嬉しく、患者さんと共に素直に喜べます。
理論的な根拠を身につけ、それを実践で具現化できるようになったとき、きっとそう感じていただけるはずです。
補綴や咬合について「分からない」と感じている先生、基礎から学び直したいと考えている先生にとって、この研修は大きな転機になるはずです。
この研修が、皆さんの臨床にとって一つの転機となれば幸いです。

略歴

1977 年 九州歯科大学卒業
1980 年 福岡市東区開業
1989 年 米国インディアナ大学歯科部補綴科客員研究員として渡米
1993 年 同大学補綴大学院修了 
     米国歯科補綴専門医 
     米国歯科補綴学修士
     福岡市博多区開業
1999 年 歯学博士「インプラント上部構造作製方法と適合精度」
2003 年 久留米大学大学院医学研究科
     博士課程(歯科口腔センター)非常勤講師

所属学会および主な活動

TheJohn F Jhonston Society
American Academy of Fixed Prosthdontic s
JSCAD(Japanese Socuety of Computer Aided Dentistry) 名誉会長
日本歯科理工学会 理事
日本補綴歯科学会 認定医 指導医
福岡臨床補綴・咬合コース主宰
米国大学院同窓会 前会長
藤本研修会補綴咬合コース講師

主な著書

『クラウンブリッジの臨床 第五版』訳  医歯薬出版
『オールセラミック修復 成功するためのストラテジー 礎と臨床応用』 医歯薬出版
『モノリシックセラミック修復ガイドブック』 医歯薬出版

書籍

主な論文

●Bernal G., OkamuraM.,MunozCA.  the effect on abutment taper,length and cement type on resistance to dislodgement  of cement-retained, implant-supported restorations.
 Jounal of Prosthodontics. 2:111-5,2003.
●M.Okamura.,KK.Chen.,H.Kakigawa.,Y.Kozono.  Application of alumina coping to porcelain laminate veneered crown:Part1      Masking ability for discolored teeth.
 DENTAL MATERIALS JOURNAL. 23:180-83,2004
●M.Yokosuka.,M.Okamura.,H.Shimizu.,S.Masumi.  Evaluation of implant-supported connecting crowns fabricated by optical and    conventional methods.
 Journal of Prosthodontic Research,2021 on processing.

学会発表

●M.Okamura,H.Kakigawa,S.Ban.
 Bond strength between the Veneered Porcelain and the Zirconia Frame.  IADR General Session,Barcelona,Spain,July14,2010.
●M.Okamura,H.Shimizu,S.Masumi,S Ban.
 Fracture strength of ceramic abutments made oftwo lithium disilicate and zirconia.  38th Asia Pacific Dental Congress,Hong Kong June19,2016.
●岡村光信 , 清水博史 , 鱒見進一 .
 デンタル模型および石膏模型により製作した3ユニットブリッヂの精度評価 .
 日本デジタル歯科学会 , 鶴見歯科大学 ,4 月 23 日 ,2017 年
●岡村光信 , 河野稔広 , 清水博史 , 鱒見進一 .
 高透光性マルチレイヤーモノリシッククラウンのマスキング効果
 第 126 回日本歯科補綴学会学術大会 , パシフィコ横浜 ,7月3日 ,2017 年

●岡村光信 , 横須賀正人 , 清水博史 , 鱒見進一 .
 デジタル模型および石膏模型により製作した3ユニットブリッジの精度評価
 第72回日本歯科理工学会学術大会 , 北海道大学 ,10月7日 ,2018 年

●横須賀正人 , 岡村光信 , 清水博史 , 鱒見進一 .
 光学印象法および従来法により製作したインプラント上部構造の精度評価
 第 129 回日本歯科補綴学会学術大会 ,online,2020 年